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【福岡ラーメン物語 のぼせもん。|五十杯目 博多一風堂 大名本店】

2021/10/09
食事

今から36年前、大名の裏路地に小さなラーメン店が出来た。ラーメンの常識に挑み続け、いつしか世界各国にラーメンを伝える開拓者となった。そして今こそ原点回帰、ラーメン一新。変わらないために、変わり続ける。 「時代は変わった。だから僕らも変わる。 まずは原点のこの場所から変えていく。」かつてラーメン店はどこか薄汚くて、女性一人では入れないような雰囲気の場所だった。しかし1985年にオープンした『博多一風堂』は違った。清潔感がありジャズも流れるお洒落な雰囲気の中、上質な豚骨ラーメンを提供して大人気となった。一風堂の登場から世の中のラーメン店の雰囲気は変わっていった。創業者の河原成美さんは固定観念を嫌う人だ。常に目の前にある事象を疑い、考え、より良くなるように挑戦し続けている人だ。時代の一歩も二歩も先を見据えている人だ。【博多 一風堂 創業者 河原成美】1952年、福岡県生まれ。1979年に『AFTER THE RAIN』を創業し飲食の世界へ。1985年に『博多一風堂』を創業。2008年ニューヨーク進出を皮切りに、世界中にラーメンと日本食の文化を伝え続けている「ラーメン屋は汚いもんだって誰が決めたんだって。今までこうやって来たんだからそれでいいだろう、って何も考えていない店がいかに多かったか。向上心や志が無いのが一番嫌いなんだよ。今までと同じを良しとせず、新しいことに挑戦し続けなきゃ面白くないよね」。メディアにも積極的に出てラーメン屋という職業の地位を上げた。海外にもいち早く進出し、世界にラーメンを広めて後進の道を拓いた。河原さんは常にラーメン界をリードしてきたトップランナーだ。今や世界各国に展開するグローバル企業となった一風堂の本店は大名の路地裏にある。2021年1月、本店のメニューが刷新され、今までとはまったく別のラーメンになった。一風堂のラーメンはこれまでも細かな改良が続けられてはいたが、ここまで全面的に一新されたのは久しぶりのことだ。一風堂と言えば「赤丸新味」「白丸元味」という二種類の豚骨ラーメンが看板メニュー。しかし現在の本店には赤丸も白丸もない。創業の原点に立ち返り、店内でのスープ仕込みも再開した。「博多とんこつらぁめん」というシンプルなメニュー名がその覚悟を表している。【博多しょうゆらぁめん(830円)】創業当時に出していた醤油ラーメンを進化させて復刻。地元大名の老舗醤油蔵「ジョーキュウ醤油」を合わせた、一風堂の新たな一杯【博多ひとくち餃子(470円)】カリッとした食感に焼きあげたジューシーな餃子は柚子胡椒と一緒に。もちろん皮も具も一風堂のオリジナル「赤丸や白丸はもう25年も前に出しているんだよ。新しいラーメンを作りたいっていう想いがまずは一番。そしてやはり本店は特別な存在なので、スープも現場でしっかりと炊いて、本店でしか食べられない一杯を作ろうと思ったんだ」。店舗が増えて人も増えて、良くも悪くも「企業」になってしまったと語る河原さん。いくら店が増えても一人のお客さんと、一杯のラーメンがすべて。だから、より高い品質のサービスを提供できるよう店舗の管理体制を大きく変えるなどし、徹底した「現場第一主義」を今一度磨き上げていく。河原さん自身も厨房に立ってラーメンを作り、お客さんと触れ合う機会を増やしている。変わらないために、変わり続ける。河原さんは常にそのスタンスでこれまで走り続けてきた。一風堂は常に時代の先を見据えている。良質の豚頭骨だけを店内でじっくりと炊き上げたスープに秘伝の醤油ダレ。豚骨臭くないのに旨味あふれるスープは一風堂ならでは歯切れの良さとしなやかさを併せ持つ自家製麺もプラッシュアップされた丼も新しさと懐かしさが共存するデザインに「コロナによって世の中が変わったよね。人の動きも変わり飲食も厳しい状況になった。その時考え方を変えたんだ。しばらくはより本質的でより個店的なものが求められる時代が続く。そこで今までと同じやり方が通用するわけないよね。だから一風堂も変わる。まずはこの本店から変えていく。ラーメンも店の在り方もね」。作り手と食べ手として出会って早20年。立場は違えど同じラーメンを愛する者同士。会えば必ずラーメン談義が始まり、尽きることがない ◉取材を終えて二十年の時空を超えるラーメン私が初めて一風堂のラーメンを食べたのは、まだラーメン評論家を名乗る前のこと。それまで「博多ラーメンは臭いもの」と思い込んでいた私の先入観を、一瞬で吹き飛ばしてくれたのが一風堂でした。今こうして福岡のラーメンを好きになり日々食べ歩くようになったのも、一風堂のラーメンがきっかけと言っても過言ではないでしょう。その後、ラーメン評論家になって東京で雑誌の連載を始めたのですが、今からちょうど20年前に初めて取材した福岡のラーメン店が、一風堂大名本店でした。私にとって福岡のラーメンの原点とも言える場所で、20年後にまたこうして河原さんと一風堂の取材が出来るとは夢にも思いませんでした。感無量です。 【ラーメン評論家 山路力也】 テレビ・雑誌・ウェブなど様々な媒体で情報発信するかたわら、ラーメン店のプロデュースなど、その活動は多岐にわたる。「福岡ラーメン通信」でも情報発信中 

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